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活用事例:東京工科大学メディア学部(2016年秋学期演習)

ユーザー体験価値デザインを考える

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今回、MESHを取り入れた演習を実施した東京工科大学メディア学部の上林憲行先生、中村太戯留先生に、授業設計の背景や、実際にどのような授業が展開されたのかを伺いました。

  • 主催:東京工科大学メディア学部メディア専門演習
  • 参加者:後期(大学2年生)
  • 開催場所:東京工科大学八王子キャンパス
  • 実施時間:2016年9月~2017年1月

 

今回の演習を設計/実施した背景について教えてください

この演習自体は10年以上前から実施してきたものです。今の世の中では、ゲームや音楽、Webサイトも含め、一貫したユーザー体験価値を提供することの重要性がますます高まってきています。学生のうちからユーザー体験価値のデザインについて考える機会を作ることを目的として、本演習を展開しています。
MESHは去年(2016年)の6月に初めて手に取り、今回の演習から採用しました。MESHには、ペーパープロトタイピングやデジタルプロトタイピングと比較して、プロトタイプを第三者に実物で試してもらえるという良さがあります。最初は授業の中で部分的に用いるつもりだったのですが、学生の反応も良く、それならと思いアイデアプロトタイピングのベースとして全面的に使うことを決めました。」

 

この演習のねらいは?

  • 学生の自主性を育てること
  • ユーザー体験における「考えること」と「感じること」の違いを、自分の感情として体験してもらうこと

 

用意した機材とゼミ活動の様子

使用機材/素材
MESH
MESH以外
  • MESHという道具を役立てる適切な文脈(例:薬の服用指示)
  • 必要な道具は学生が思考して決める
授業日程(週1回、90分2コマ)
1〜5週目 (課題1)
  • テーマを「モノのデザイン・自分のためのデザイン」と設定し、「LED」「ボタン」「動き」の3種類のタグのみ使用。
  • 次にテーマを「場のデザイン」と設定し、「人感」「明るさ」「温度・湿度」タグといった場をセンシングするタグも使用。
  • 最終週に発表会および実演を実施。
6〜10週目 (課題2)
  • テーマを「街や社会のデザイン」と設定し、IFTTTやGmailといった外部サービスも使用。
  • 「横浜ガジェット祭り2016」で対外発表(希望者のみ)。
  • 作品のプロモーションビデオを班ごとに作成。
  • 最終週に発表会および実演を実施。
11〜15週目 (課題3)
  • テーマを「ミニプロジェクト」と設定し、「GPIO」タグも使用。
  • 冬休みを活かし、自分たちが今作っている仕掛けのヒントを世の中から探すために、様々な施設へ出向き、フィールドワークを実施。
  • 作品のプロモーションビデオを班ごとに作成。
  • 最終週に発表会および実演を実施。

 

どんな作品が生まれましたか?

「クローズキーパー」 レシピ PV

クローゼット内の湿度が上がると扇風機が回り、湿気を飛ばします。気温に合わせたコーディネートもおススメします。(作成:2016年度後期の第3課題の第5班、相互評価:第1位)

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「ねっちゅバイビー Hot now? レシピ PV

赤ちゃんの周りの気温が上がると扇風機が回り、パパやママに通知します。音や光も鳴り、赤ちゃんも遊べます。(作成:2016年度後期の第3課題の第6班、相互評価:第2位)

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その他、演習で作成したレシピは、末尾に「~@SXD.Media.TUT」を付けたIDでMESHレシピ集に投稿。

 

どんなことを工夫しましたか?

  • 文脈を用意
    MESHという道具を役立てる適切な文脈をいくつか用意し、学生に提供する。様々なユーザースタディが考えられる最適解の無い文脈を用意することで、学生が多様な解を考えられるようにする。

  • ジグソー法の活用
    各MESHタグの使用事例を班の中で担当者を決めて調査し、同じMESHタグを調査した担当者同士が班を超えて集まり情報を交換した後、元の班に戻り情報を共有する。

  • 課題ごとの発表や、対外発表によるフィードバック
    全15週を5週ずつに分け、3つの課題を実施。課題ごとに行う発表や対外発表によるフィードバックを手掛かりに、徐々に内容を良くしていく。

  • 相互評価
    教員からの縦方向の評価ではなく、学生同士が互いの作品を評価してコメントや学んだ点を記入し、寄せられたコメントから改善点を考察する。

  • PV(プロモーションビデオ)作成
    自分たちのアイデアを動画で表現。また、それをクラウド上で見られるようにし、学生同士の刺激を狙う。

 

 今回の演習を行った感想を教えてください

「MESHを使うことで、ペーパープロトタイピングではできなかったプロトタイプしたものを実際に試す』ということができるようになりました。『考えている間は面白いかどうか分からなかったものが、実際に体験してみると面白い』や『面白いと思っていたのに、やってみると意外とつまらない』といったことを自分の感情として体験してもらえたことで、演習の元々の目的であった『ユーザー体験デザインにおける、考えることとやってみることの違い』をより学生に実感してもらえたと思います。このことは学生の自主性を育てることにも繋がったと思います。今回の演習では例年に比べて学生の発表意欲が高く、『横浜ガジェット祭り2016』での対外発表やMESHレシピ集への積極的な投稿が行われました。これは、自分たちの考えた作品を実際に体験したときの『おお』という感慨が、作品に対しての自信を深めることに役立ったためだと思われます。今まで回らなかったサイクルの最後のピースをMESHが埋めてくれたことで、この演習が今までよりさらに良いものになったと思います。」

 

主催者による演習終了後の発信内容リンク:

東京工科大学公式サイトでのお知らせ(2017年2月)
東京工科大学公式サイトでの「横浜ガジェット祭り2016」の報告(2016年11月)

参考文献:

中村太戯留・上林憲行「こと創り教育におけるサイバーフィジカルな教材の活用とその効果の検討」『平成29年度ICT利用による教育改善研究発表会資料集』(2017年8月、118-121ページ)

関連リンク:

ワークショップの運営マニュアル – MESHサポート | 遊び心を形にできる、アプリとつなげるブロック形状の電子タグ