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実践例|大学「100均グッズをMESHでさらに便利に!」山口大学 国際総合科学部

100均グッズを『便利』なスマートオブジェクトにリ・デザインする

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今回のワークショップの主催者である山口大学 国際総合科学部 冨本浩一郎先生、秋谷直矩先生に、ワークショップ実施の背景や、実際にどのようなワークショップを開催されたのかを伺いました。

  • 主催:山口大学 国際総合科学部
  • 参加者:延べ10名国際総合科学部の学生9名+他大学学生1名)
  • 開催場所:国際総合科学部棟4F ワークショップスタジオ
  • 実施期間:2016年12月15日(木)16:30~18:00[1日目]、12月18日(日)10:00~17:00[2日目]
  • 参加費用:ワークショップ中に買い出しに行った100円均一ショップでの材料購入費のみ各自負担

 

今回のようなワークショップを設計/実施した背景について教えてください

「これまでは専門的な知識やスキルを身につけていなければ、デジタルでインタラクティブなアイデアを簡単に表現することはできませんでした。しかし、MESHを含む、安価で初心者でも使いやすいツールを使うことで、プロトタイピングのハードルを下げることができます。学生には、アイデア発想力が活性化されるということを直接体感してもらうことができると考えました。」

 

このワークショップ構成はどんな人にオススメですか?

  • アイデアのプロトタイプ(試作物)を創っていく際に必要な、実践的スキル習得を目的としたワークショップを提供したい人
  • 100円均一ショップやDIYショップグッズなど、身の回りに存在している物理的な「もの」を活用しながらアイデア発想力を養っていく場を提供したい人
  • インタラクションデザイン、IoT、スマートオブジェクトなど新しいガジェットに興味のある人

 

このワークショップのねらいは?

  • ものづくりのコアなスキルを持っていない学生が、「もの」を出発点として身の回りの課題を解決するという、アイデア発想力を養うこと
  • 「便利なもの」を作る過程で、「便利」とは何かについて考えてみること
  • 試したいことを短期間で再現するプロトタイピングに必要なスキルを高めていくこと

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(ワークショップ配布資料より抜粋)

 

用意した機材とワークショップの様子

使用機材/素材
MESH
MESH以外
  • 100円均一ショップで各自が購入したもの
  • 身近にあったスチレンボード,スタイロフォームの端材

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タイムスケジュール
1日目:ツールを学ぶ~プロトタイピングツール講習(120分)
1. イントロダクション(10分)
  • ワークショップ概要・スケジュール説明
  • 注意事項・連絡事項 
2. MESHについて説明(30分)
  • 機能紹介・デモ
  • 各種センサーやブロックについての説明(インプット、アウトプット)

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3. 体験時間,アイデア出し(60分)
  • MESHを自由に使う
  • 実際に手を動かしている過程で感じたことや気付いたことなど、アイデアの糧になりそうな要素をメモ
4. まとめ(20分)
  • 振り返り・フィードバック
  • 次回の説明
2日目:「便利を作る〜デザインワークショップ」(7時間)
1. 材料調達(90分)

100円均一ショップへ材料買い出し

2. ランチ(60分)
3. アイディア展開・制作(3時間半分)
  • テーマ「便利なもの」に沿ってアイデアを形にする
  • アイデアスケッチ、作りながら考えアイデアを練る、コンセプトと機能を言葉にしてみる、ひとつのアイデアにまとめる
  • 制作プラン→制作、コンセプト通りに動くか試してみる、便利になっているか再度確認
  • 材料をフルに使って仕上げる

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4. 発表(60分)
  • 作成した「便利なもの」を5分程度で発表

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(プレゼンテーションのテンプレート)

5. まとめ(30分)
  • 振り返り、コメント、片付け

 

どんな作品が生まれましたか?

作品例 使ったブロックとレシピ例

Tissue Counter

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「ティッシュをとるたびに使用枚数をカウントし、交換時期を光で伝えてくれるケース。BOXの高さに応じて、ティッシュの枚数が判断できる(厚みのあるBOX ティッシュは400枚、薄いBOXは250枚)。BOX ティッシュの形状を問わないケース。」(実施後レポートより引用)

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(レシピ画像は参加者が作成したものを見やすいように整理したもの)

くっつきMESH!

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「美味しいコーヒーの淹れ方はなかなか難しい。ドリッパーで蒸らしたり、時間を計ったり。 達人の淹れ方の湯温と時間を数値化してドリッパーに取り付け、最適値になったら次の工程へ光で促してくれる体感マニュアルツール。

お知らせする LED ブロックはマグネット式ボックスホルダーを使って、キッチンのどこでも取り付けられるように使い方の工夫をした。 」(実施後レポートより引用)

 

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(レシピ画像は参加者が作成したものを見やすいように整理したもの)

自転車ゲッター

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「高額商品を買うために、500円玉貯金を始めようにもすぐに挫折してしまう。しかし、いざという時開けられないのも困る。

人感センサと振動センサを使って、コインを入れるたびに貯金額とメッセージをメールで知らせてくれる貯金箱。また途中で開けることも可能だが、開けると貯金箱が割れた音と同時に、貯金失敗のメッセージが送られる。プレッシャーを与えつつ、貯金のモチベーションを維持してくれるゆるい貯金箱。 」(実施後レポートより引用)

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(レシピ画像は参加者が作成したものを見やすいように整理したもの)

 

どんなことを工夫しましたか?

  • 作例を見せない
    「3つの発想のアプローチ(ものからの発想・機能からの発想・シーンからの発想)と方法(作りながら考える)の習得が目的であったため、
    先入観や誘導による発想の幅を狭めないためにあまり作例を見せないようにしました 各自の制作中は、自由な発想を求めつつもアイデアのコンセプトを記入するワークシートの作成と並行して行うことで、発散と収束を意識させました。」

  • 参加者同士の教え合い
    「講師が一方的に教えることを避けるため、
    ある程度スキルのある参加学生をチューターとして、他の参加者の技術的なサポートをお願いすることで、参加者同士のコミュニケーションの誘発と学び合うことを促しました。」

 

当日の様子(サムネイル)

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主催してみた感想を教えてください

「今回は単純なものづくり系のワークショップでしたが、いろいろな狙いを込めた内容でした。
職種や業種に関係なく、あるいは日常生活の様々な場面においても、大小様々な課題のブレイクスルーが必要とされる中で、デザイナーやものづくりを専門としなくとも、自分が考えたアイデアを実際に表現できることというのは、解決のアイデアの幅を広げる点で非常に重要だと感じています。
特に、MESHはシンプルでわかりやすいインターフェスであり、日常触れる機会の多いスマートフォンやタブレットを利用する点、また、「作る」というよりは100均グッズと同じように素材の一つとして組合わせてかたちにできる点、この2つの点において参加者のプロトタイピングのハードルを下げ、「発想〜プロトタイピング」をトレーニングするために非常に有効なツールであると思い、使わせていただきました。
今回は、プロトタイピングワークショップという位置付けでしたが、ワークショップ中、参加した学生たちにはワークショップの狙いである3つの発想のアプローチ(ものからの発想・機能からの発想・シーンからの発想)と方法(作りながら考える)について強調して説明することで、概ねワークショップの趣旨を理解してくれたようでした。まずまずの達成感を感じてもらえたので、参加者にとっては満足度の高いワークショップとなりました。(冨本)」

 

参加した方々の感想などを教えてください

「作っていく過程で、作りながら問題点がどんどん見つかっていって、それをどうすればいいかというのを考えるのがこのワークショップの自分のポイントだと思いました。複雑なものを作るのではなくて、いかに少ない材料の中で便利なものを作っていくかということの方が、実際は難しくて、大事じゃないかなということを,他の人のアイデアを見ても感じました。」

 

参加者アンケート結果

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取材協力:

山口大学

関連リンク:

ワークショップの運営マニュアル – MESHサポート | 遊び心を形にできる、アプリとつなげるブロック形状の電子ブロック