Adaptation Moduleを作ろう
9月9日(土)、16日(土)にローランド ディー.ジー.株式会社主催のFabワークショップ「Adaptation Moduleを作ろう」が開催されました。今回のワークショップの主催者である村松一治さんに、ワークショップ実施の背景や、実際にどのようなワークショップを開催されたのかを伺いました。
- 主催:ローランド ディー.ジー.株式会社
- 協力:ファブラボ平塚(神奈川大学経営学部)、ソニー株式会社MESHプロジェクト
- 参加者:教育関係者及びファブ施設の運営をされている方 14名(9日)
- 開催場所:ローランド ディー.ジー. 東京クリエイティブセンター
- 日時:2017年9月9日(土)13時30分~16時30分(16日にも開催)
- 参加費用:無料
- リンク:「Fabワークショップ「Adaptation Moduleを作ろう」 | Roland DG」
ワークショップを実施した背景について教えてください
「私たちがデスクトップファブリケーションという、パソコンを使って机上で切削を行うものづくりというコンセプトを言い出したのが2002年頃からになります。同時期にMITでファブラボが始まり、現在では日本でも各地にファブラボ(注:デジタルからアナログまでの多様な工作機械を備えた、実験的な市民工房)が開かれるなど、ものづくりという動きがよりカジュアルなものとして広がってきているのを感じています。
私自身がそういうデジタルファブリケーション工房を見て歩き出したのが今から4年ぐらい前からですが、レーザーカッターは大体どこのラボに行っても動いているんですね。学校の中にある技術室や工作室みたいなところや、メイカースペースみたいなところでも、レーザーカッターは大体動いてます。一方で、私たちの切削加工機とかカッティングマシンは、ファブラボの認定機器になっているおかげで設備として導入いただいても、なかなか動いていないというのを感じていました。営業、販売的には、使わなかったら次買い替えませんし、いい噂も広まりませんよね。そういったところで私たちの製品をもっと使ってもらいたいという気持ちがあって、今回のワークショップを開催しました。」
ワークショップのターゲットは?
「学校やファブラボで製品をどうしたらもっと使ってもらえるか考えたときに、買ってもらった方の中から一緒にコラボできるような方を見つけて、その方から広めてもらうという考えがあったんですね。
また、今回協力していただいたファブラボ平塚の道用先生とは二年ほど前に出会いまして、文系の大学でファブラボを行っている理由の一つは、ものづくりをする人を育成するとか、ものづくりの企業に入って開発や製造の部署に行く人を育成することではなくて、そういう人たちの気持ちが分かる人たち、経営側とものづくり側の間に立つような人たちを育てたいということだという話を交わしたんです。そういう人たちがこれから求められる人材だ、という話でお互い考えが一致しまして。そういう人たちが気軽にこれるラボが増えれば我々としてもビジネスにつながるかな、と。
そこで今回のワークショップではそういう視点を含めて、学校で技術系の教員をされていて技術室とか工作室とかに出入りしているような方、それからファブラボなどのメイカースペースを運営されている方をお呼びして、製品の活用の参考になるワークショップを開こうと考えました。」
MESHを取り入れたねらいは?
「こういった取り組みは去年から行っていまして、去年は可愛いモノを作ったんですね。ファブラボには必ずレーザーカッターがあって、レーザーカッターではアクリルのカットができます。一方で、我々の製品では回路の中の基板を作ることができます。これを組み合わせればアクセサリーになるという発想で、メイカースペースにある機材を使って簡単にできるって提案でやりました。去年のMaker Faire Tokyoで小さな子どもを対象にやったり、中国の深圳で開かれた第12回世界ファブラボ会議(FAB12)でも行ったりしました。
それはそれでよかったんですけど、その次のステップに行こうってなったときに、基板を作る動機は人が来たら光るとか、暗くなったら音が鳴るとか、「制御」することだなと思ったんです。それで道用先生からMESHというアイディアが出てきた、というのが流れですね。」
このワークショップ構成はどんな人にオススメですか?
「monoFab SRM-20という切削加工機は、3Dデータを出力しモックや部品試作をすることもできるので、ソニーさんのような企業にもお勧めですが、今回についてはSRM-20とMESHがあればこれができるっていうような形でメイカースペースや学校に広まっていけばいいなと思っているので、そういった点だと誰にお勧めって言うとメイカースペースの方とか、学校で技術教育をやってらっしゃる方になりますね。今回行ったワークショップの情報はfabble(AdaptationModuleレシピ)で全部公開していますから、そのままやっていただくなり、学校やメイカースペースに合った形でアレンジしていただいてもいいなと思っています。」
用意した機材とワークショップの様子
使用機材/素材 | |
MESH | 「GPIOブロック」「ボタンブロック」「動きブロック」 |
MESH以外 |
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タイムスケジュール | |
13:30~14:00 |
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14:00~16:30 |
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16:30~ |
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どんな作品が生まれましたか?
「××××波体験キット」
AdaptationModule(近接センサー)とAdaptationModule(LED)の組み合わせ。両手を合わせてセンサーに向かって突き出すと、爆発音と共にLEDが光る仕組み。
「ルーレット」
AdaptationModule(近接センサー)とAdaptationModule(モーター)の組み合わせ。回っているルーレットに手を近づけると、センサーが反応してルーレットが止まる仕組み。
その他の作品のデモがファブラボ平塚、道用先生のFacebookページに掲載。
工夫したことはなんですか?
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主役は参加者
「スタッフで事前に共有していたことは、『参加者にやってもらう』ということです。機械の操作も、アドバイスは出すけれど極力手は出さないという形でやろう、ということは意識していました。今回のワークショップではうちの製品というデジタルファブリケーション機器、それからMESHという電子ブロック、さらにその間ではんだ付けも行いますから、そういうアナログ作業も含めて参加者が全て学べるような構成にしたいと思っていました。」 -
ホスピタリティ
「はんだを使うときには怪我すると大変ですから、そういう注意はしました。明るいところでやってもらう方がいいということで机の配置を工夫したり、延長ケーブルやはんだの電源コードは机の下からとって、やりにくくないようにしたりとか。名札も、参加者の名札は首から下げるタイプだとはんだの作業中に邪魔になるかもしれないので、胸に留めるタイプにしました。そういうホスピタリティ的なところ、おもてなし的なところは気を遣いましたね。」
当日の様子(クリックで拡大)
ワークショップを主催した感想を教えてください
「率直な感想を言うと、参加者に助けられました。参加された方がすごくスキルのある方が多かったので、スムーズに行きました。どんどん皆さんが楽しくやられていて。私たちが通常やるようなワークショップだと、次の仕事がある方もいますからやっぱり時間通りに終わらなくちゃいけないんですよね。だからワークショップ中に時間が伸びそうだと分かったときにちょっと大丈夫かなって思ってたんですけど、誰一人、いや帰んなきゃいけないからっていう声もないし、みなさん時間が足りないぐらいの雰囲気だったじゃないですか。もっとやりたいっていう感じで。そういう点では、参加者が主役になるような場にはなったかな、という風には思います。」
参加した方々の感想を教えてください
- MESHとSRM-20という組み合わせがとても面白かったです。
- MESHと電子基板を連携することで、MESHの教材としての拡張性が拡がると感じた。
- とてもよい流れでワークショップが組み立てられていた。
- 各テーブルのスタッフが良く動いてくれて助かりました。
- 学校での利用がイメージできました。
主催者によるワークショップ終了後の発信内容リンク:
Roland DG Creative Center Facebookページ 9日回終了後
Roland DG Creative Center Facebookページ 16日回終了後
ファブラボ平塚 道用先生 Facebookページ 9日回終了後
関連リンク:
ワークショップの運営マニュアル – MESHサポート | 遊び心を形にできる、アプリとつなげるブロック形状の電子ブロック