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実践例|中3 技術「持続可能な理想都市を考える」さいたま市立大宮国際中等教育学校

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さいたま市立大宮国際中等教育学校では、3年生の技術「計測・制御のプログラミングによる問題の解決」の単元にて、「持続可能な理想都市を考える」という授業を実施。MESHを活用し、授業実践をされた今溝先生に、授業実施の背景やどのように授業を展開されたのかを伺いました。

 

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  • 学校名            :さいたま市立大宮国際中等教育学校
  • ご担当先生    :技術科担任 今溝 啓太先生
  • 生徒数            :4クラス 159人(活動班1グループ3人)
  • 実施時間        :全12時限  (本時は9時限目)
  • 使用端末  :iPad

本実践事例の指導案 (PDF)

本授業の指導案を公開しております。こちらからダウンロードしてご覧ください。

今回の授業を実施した背景は?

本校では「学校生活のあらゆる機会を通して、未来の学力を備え国際的な視野を持つ生徒の育成」を学校使命として掲げています。未来の学力を身に付けるために、「生涯にわたって自ら学び続ける力」や「自分の頭で考え抜き、新しい価値を生み出す力」が重要であると考え、学習の機会を設けました。

授業テーマはどのように決めましたか?

上述の未来の学力が求められる背景には社会の在り方の変化が関係しており、より高度な情報社会に発展していくことが予想されています。その中で、自身で課題を設定し、解決に向かう思考・態度や、SDGsなどを念頭に置いた持続可能な社会の構築に主体的に関与しようとする思考・態度が時代を生きる子供たちに必要になる能力だと考えました。それらの点から今回の授業テーマは、自ら課題を設定し、解決するために、自ら計画を立てて、リサーチやディスカッションを行ったり、表現する力を身に付けることを目標に設定しました。

 

MESHを授業に採用したきっかけは?また授業でどのように活用されましたか?

ソニーマーケティングからのご紹介をいただいたことがきっかけです。また、授業テーマに沿い、生徒にとって扱いやすいインターフェースであることも採用させていただいた理由です。授業では、それぞれが設定した課題を解決するためにセンサー等を使いシステムを考え表現する際に活用しました。

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実際に活用して感じた利点を下記に示します。

  • ・ビジュアルプログラミングにより視覚的にプログラムが組めるようになっており、初心者でも楽しみながら学習に臨めた
  • ・プログラムを組んでからのレスポンスが早く、生徒の活動時間を確保しやすい
  • ・インプット、アウトプット、振り返りが行いやすい
  • ・センサーやアクチュエータによっては条件が変更することができるため、表現の幅が広い
  • ・スマートフォンに使われているセンサーの種類などを解説しやすい

 

生徒が考えた主な作品

コミュニティー支援システム

考案の動機

若い世代のコミュニティーへの参加率が高くなく、地域内でのつながりが薄れていることが問題となっている。そこで、それを解消することで若い世代と高齢者などの多くの世代がつながり、街の活性化につながると考えたため。

システム説明
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人を感知し、振動することで挨拶を促す。また、カメラでものを感知しその人の好みなどを把握し、それにあったイベントやワークショップを提示する。音を拾うことのできるマイクでは、マイクに向かって送りたいメッセージの内容を話すことでコミュニケーションを取ることができる。コミュニティーの全ての人に使用してもらえれば、メッセージを通じて全体と関わることもできるし、挨拶も促すことができる。イベントやワークショップの提示、メッセージの送信は、持っている電子機器と連動し、専用のアプリを使うことで高齢者でも簡単に操作をすることができる。

プログラム
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レシピ① 少しでもあいさつに意識を向けられるようにする機能

人を感知し、ベルの再生や通知によって挨拶を促す。通知はスマホなどの電子機器に送信される。

レシピ②、③ 住民間のコミュニケーションを活発にするための機能

ボタンを押して、メッセージの録音ができるように見立てた仕組み。

②でボタンを押された後に、信号が緑色に点灯をすることでボタンがしっかり押されたことを通知する。押し方が間違っていたり、不備があったりした場合には色が変化し、赤色に点灯する。

③では、マイクブロックを録音する機能に見立てて、信号が点灯した後、録音を開始することにし、録音ができていたら信号を緑色、録音ができていなかったら赤色を表示することにした。

※緑色、赤色を選択した理由:信号の色だから説明がなくても自然に判別しやすいのではないかと考えたため。

 

自転車窃盗防止システム

考案の動機

調査よりさいたま市で起こっている街頭犯罪のうち23.4%が自転車の窃盗であり、自転車の窃盗を防止するためのプログラムを使った製品を考えることが犯罪を減らし、理想都市の実現に近づくと考えたため。

システム説明
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自転車に取り付け、音と光を活用して窃盗を防止する。
1.持ち主は事前に指紋を登録し、持ち主以外が一定時間触れることで動作する。
2.スマートフォンと連動させ、システムが動作したら通知が来る。

プログラム
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どんなことを工夫しましたか?

①生徒に探究心を持たせる

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フローチャートで思考を整理し、可視化してからプログラミングに取り組む生徒たち

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仕組みの考えをまとめたワークシート

MESHの基本的な動作(ボタン→LED)を一つだけ例に挙げて説明を行いました。その後MESHを配布し、どんなことができるか想像しながら組み合わせるよう指示を出すことにより、生徒は様々な可能性を見つけようと模索します。また、一定の時間が経過したら問題を提示し、複数の回答からプログラムによる表現が一つではないことを理解させることができました。

②グループでの活動

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MESHは表現の幅が広く、生徒一人ひとりの考えが反映できます。それゆえに、グループ活動にすることにより活発な意見交換がされ、問題解決につながるとともに、より完成度の高いものを目指そうとする意識や態度が身につくことができます。また、他グループに向けて経過報告を行い、フィードバックをもらうことで新たな視点を取り入れた作品となりました。

 

生徒たちの感想

授業でプログラミングを行い、課題解決をすると説明を受け、最初は抵抗があったのですが、MESHでのプログラミングは操作が簡単で分かりやすかったので、自分の課題解決を表現することができました。

センサーやアクチュエータ、ロジックがどのようにプログラムに関与しているのかが視覚化されているので、考えやすかったです。

人感センサーは生活の中で数多くの場所で使われているはずですが、あまり気にしたことがなく、今回の学習で自分の手にとって初めて気づいたこともありました。また、生活の中には様々なプログラムが組まれていることに気づくことができました。

自分が設定した課題についてMESHで表現することは難しかったが、考え方を知るきっかけになりました。

 

今回授業でMESHを使用された感想を教えてください。

従来のプログラミングを行う授業では、例題をもとに知識・技能を定着させてから課題に取り掛かることが多く、作業についても個人で活動させることが主でした。ですが、今回MESHを活用したことにより、生徒の活動が活性化し、主体的に学ぼうとする姿勢や課題が近い生徒同士で協働する姿勢も見ることができ、生徒の変容を感じることができました。