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実践例|高1 情報「学校を豊かにするシステムを作ろう」埼玉県立所沢西高等学校

埼玉県立所沢西高等学校では、情報Ⅰの授業で「所沢西高校を豊かにするシステムを作ろう」をテーマに授業を実施。1年間を通してデータサイエンス、Pythonを学び、情報Ⅰのまとめ授業としてMESHを使った授業を計画しました。授業を実践した大場先生に、実施背景や授業展開を伺いました。

 

  • 学校名            :埼玉県立所沢西高等学校
  • ご担当先生     :大場 拓八 先生
  • 生徒数            :40人学級(3~4人 1グループ学習)
  • 実施時間        :50分×5回
  • 使用機材        :Chromebook、MESHアドバンスセット、MESHブリッジ 12セット

今回の授業を実施した背景は? 

今年度から情報Ⅰが本格的にスタートしました。年間授業計画を考えていく中で、2学期後半にデータサイエンス分野、3学期前半でPythonプログラミングを計画し、3学期の後半の授業では、MESHのプログラミングを取り入れたいと考えました。これまでの授業ではグループでの活動がありませんでしたので、グループで協力して意見交換をしたり、共有し自由な発想でMESHシステムを構築する授業を展開したいと思いました。

授業テーマはどのように決めましたか? 

MESHは 誰でも手軽に「あったらいいな」と思うIoTを活用した仕組みを作ることができます。高校生は生活の多くの時間を学校で過ごします。そのような身近な学校生活において普段困っていること、こんなシステムがあったら便利だ、と思う場面があるのではないかと考えました。MESHを活用し、それらの課題を解決するために自由な発想で作り上げる授業テーマ「MESHを使って所沢西高校を豊かにするシステムを考えよう」を設定しました。

本授業のねらい、目標は? 

この授業のねらい、目標は3点あります。
1.今まで学習したデータサイエンス分野および、Pythonプログラミングの経験を生かしたMESHシステムの作成
2.発想に制限や壁を作ることなく、自由な発想でプログラミングを組むこと
3.グループ活動を通して、自主的に考え行動し、他者と協力して課題に取り組むこと

MESHはどのように活用しましたか?  

授業テーマ「MESHを使って所沢西高校を豊かにするシステムを考えよう」を達成するため、毎回の授業でグループに1つ、Chromebook、MESHブリッジ、MESH(アドバンスセット)を配付しました。

授業の流れ

1時間目

  • <MESHレシピにチャレンジ!>
  • ・MESH(LEDブロック・ボタンブロック・動きブロック)を実際に触って体験する
  • ・授業担当が作成したMESHレシピを3~4人グループで作成する
  • 例:ボタンを1回押されたらLEDが白く光る、タグの向きを裏向きに変えたら音が鳴り、LEDが好きな色でふわっと光る 等
  • ・作成したレシピは、イラストや文字でワークシートに記入する

2時間目

  • <MESHの活用方法を調べよう>
  • ・オリジナルMESH活用術を考えるため、公式HPや「MESHをはじめよう」などの冊子を活用し、MESHの機能や活用事例を調べる
  • ・調べた内容をグループで共有し、MESHをどう活用するかを考える

3時間目

  • <MESHを使ったシステム案を考えよう>
  • テーマ:所沢西高校を豊かにするシステムを考えよう
  • ・学校の中で「こんなシステムがあったらいいな」をキーワードに、ほんの少し幸福度があがったり、楽しくなったり、学校生活が便利になるようなMESHシステムをグループで考える
  • ・改善したい問題を解決するために、MESHプログラミングを行う

4時間目

  • <システム案の発表準備をしよう>
  • ・改善したい問題を解決するために、MESHプログラミングを行う
  • ・システムの名称、どんな問題や課題があったか、システムの概要説明、MESHレシピの画像をGoogle「Jamboard」を使って各グループでまとめる
  • ・次回の発表順を決める

5時間目

  • <システム案の発表をしよう>
  • 「所沢西高校を豊かにするシステム」としてグループごと発表
  • ・発表資料はGoogle「Jamboard」を使って共有
  • ・発表内容について相互評価を行う
  •  1.所沢西高校を豊かにするシステムかどうか
  •  2.MESHの機能を上手に工夫して利用できているか
  •  3.このシステムを実際に使ってみたいか 
  •  4.コメント

 

どんなことを工夫しましたか?  

授業で工夫をした点は3点あります。
1.全5コマの授業をフルに活用できるよう授業計画を工夫しました。限られたコマ数の中で生徒が主体的に活動できるよう計画しました。
2.教師が「学びを支援する」という授業スタイルを心がけました。毎回の授業では授業者が話す時間は10分もないくらいです。授業では「教えない」工夫をしたことで、グループ活動を通して、自主的に考え行動し、他者と協力して課題に取り組むことができました。
3.授業で使用するワークシートはできるだけシンプルに作成し工夫しました。グループ活動で自由な発想ができるようなレイアウトを考えました。

 

生徒が開発した作品

傘忘れ防止システム

傘の置忘れを防止するためのシステム。午後雨が止んでいた際に傘を忘れてしまった生徒自身の経験を基に考案した。

 

 

出席確認システム

使い教室に入ってきた人をカウントしたり、下駄箱が開いたときにカウントすることで出席確認ができるシステム。さらにボタンを押して遅刻連絡をできるようにすることで先生と連絡がつくように工夫した。

 


防犯システム

人もしくは明るさを感知すると写真が撮られ、同時に先生に通知が届くシステム。教室に人がいないときのセキュリティが緩いことに着目して作ったしくみ。

 

今回授業でMESHを使用された感想を教えてください

今回、授業で初めてMESHを使用させていただきましたが、これまでの授業とは真逆の授業でした。MESHの端末を配付し課題を与えた瞬間、生徒たちの目の色を変えて課題に取り組む姿は授業者として手ごたえを感じました。

今回の授業では、あえて「教えないこと」を徹底しました。授業者にとって「教えないこと」はとても勇気のいる決断でしたが、そのおかげなのか、生徒たちは分からないことがあればクラスメイトに聞いたり、グループのメンバーと試行錯誤をして、プログラミングをする姿が数多くみられました。生徒たちが「おぉ!」や「できた!」という声が教室のあちこちから聞かれたのが印象的でした。これはまさに「主体的・対話的で深い学び」が活発に行われている状態であり、MESHはそれを自然に実現することができる教材であると実感しました。
授業後のアンケートでは「班のみんなと協力してMESHを使っていろいろなレシピを組むのがとても楽しかった」「MESHを使っていろいろな動作をプログラミングできて楽しかった」「MESHを使って複雑なことができるようになりたいと思った」等の意見が多く寄せられました。MESHという体験を通じて学んだことは、必ず生徒たちの心に残ることでしょう。

今後、「1年生の情報ⅠでMESHを使ってプログラミングしたよね」と数年経過しても思い出してくれるようであれば授業者として最高の喜びです。このような授業こそが生徒たちにとって次の発展的な「学び」に繋がると思っています。