小学校 総合的な学習の時間「福祉のこころ~学校のバリアを解消しよう~」

南アルプスや八ヶ岳などの美しい山岳を見渡せる地域にある北杜市立泉小学校。
広大な土地に建てられたこちらの学校では、フィールドワークなどの授業に加え、ICTを活用したプログラミング授業等が盛んに行われております。
今回は、プログラミングを取り入れた4年生の総合的な学習の時間で、「学校のバリアを解消しよう」という課題解決型の授業を実践いただきましたのでご紹介いたします。

探究のプロセスにおけるプログラミング体験

「もし、身体の不自由な子が転校してきたら、わたしたちの学校にはどんな不便(バリア)がある?」児童は校舎内を調べ、解消したいバリアを見つけ出した。
児童が建物に工事を加えることはできないが、MESHを使ってちょっとした工夫を加えることはできる。児童のアイデアを具現化するツールとして、さまざまなセンサー機能をもつMESHは有効に働く。総合的な学習の時間では、探究的な学習過程において、プログラミングを体験しながら、よりよく課題を解決できる力を育成したい。
そこで、探究のプロセスにプログラミング体験が適切に位置づくように、課題の設定、問題解決活動、発表・振り返りといった流れを意識して授業を設計した。
先生 :北杜市立泉小学校 三井先生
児童 :4年1組
単元 : 「福祉のこころ」
実施時間:45分×4回(本時は第3、4時限目

本授業の実践ガイド・ワークシート(PDF)

以下のご利用条件を確認してからダウンロードしてください。

準備物

MESHブロック、タブレット端末
3~4名のグループごとにMESHブロックとタブレット端末を1セット用意。
MESHブロックカード
プログラミングの内容をグループで検討するためのカード。
学習アイコン
授業の流れを示すためのマグネット。
資料
バリアフリーやユニバーサル・デザインに関連する資料を、校内のバリア探し、バリア解消アイデアのヒントとして活用する。
ワークシート
ワークシートを使用し、学習のポイントをおさえる。
工作道具
画用紙やテープ、マジックなど。バリアを解消するときにあると便利。

授業の流れ(第9時)

 

事前 校舎内を調査して、解消したいバリアの場所を決める

福祉の学習を通じて、バリアフリーやユニバーサル・デザインの考えを学んだ児童たち。学校内にはどんなバリアがあるのかを実際に見てまわりながら、グループごとに調査する。そのうえで、解消したいバリアの場所を決定する。
必要に応じて関連資料を参照して、公共施設などでの工夫を参考にする。
音楽室に段差がある!目の不自由な人に危ないね。
 

1. カードを使ってプログラムの内容をグループで検討する

これまでの活動を振り返り、MESHではどんなことができたのかをみんなで確認する。
その後、グループごとに前時の授業で調査したバリアの場所を解消するための方略を考える。MESHのブロックに見立てたカードを使って、MESHで実現できることを整理しながら、プログラムの内容や手順を検討する。
 

2.解消したいバリアの場所へ行き、アイデアを試す

グループで検討した結果を教師に説明し、OKが出たグループから校舎内の解消したいバリアの場所へ行く。その場でプログラミングしたアイデアを試して、意図した動きとなるかを検証する。意図した動きとなるまで調整を繰り返す。
 

3.アイデアの発表と学習の振り返り

バリアを解消したい場所に全員で行き、考えたアイデアをその場で試しながら発表する。振り返りでは、シールを使って自分のグループが考えたレシピをワークシートに残したり、本時の振り返りを記述したりして学習の履歴とする。

レシピ例

 

図書室のバリアフリー

車いすの方や低学年の子が、読みたい本に手が届かないとき、ボタンを押すと・・・
レシピ
内容
貸出カウンターに置いてあるLED ブロックのライトが光り、「本を取ってください」という音声が流れる。
 

階段のバリアを解消

目の不自由な方が階段を降りようとすると・・・
レシピ
内容
人感ブロックを設置して、通行を感知すると「階段があります! 気をつけてください」という音声が流れる。
 
本事例につきましては、『MESHではじめるプログラミング教育 実践DVDブック 小学校編』にて映像とテキストを詳しく紹介しております。
ぜひご活用ください。