小学校 理科「一日の気温と天気の変化~空と気温の関係は?~」

千葉大学をはじめ周辺地域の人々と連携をしながら、さまざまな教科でのプログラミング授業を実践されている千葉大学教育学部附属小学校。
ICTの活用をはじめ、子どもたちの情報活用能力の育成に向けた活動は、全国各地でも発信されるなど、積極的に行われています。
今回は、学内でMESHを活用いただいたプログラミング授業の中から
4年生の理科で実践された「空と気温の関係は?」という授業をご紹介いたします。

「実験方法の立案」にプログラミング体験を取り入れる

理科教育においては、「実験方法の立案」の場面で、プログラミングを取り入れる余地があるのではと考え、本実践を思案した。天気と気温との関係を学習する本単元では、当然、体感を重視することが望ましいため、実際に百葉箱に気温を測定しに行くことは大切な過程である。しかし、学習の中で、「下校後の気温の変化も知りたい」、「なるべく多くのデータが欲しいが、毎日1時間おきに観察するのは難しい」など、児童から問題点が出たときに、MESHの出番となる。また、プログラムを工夫すれば、「気温測定時の空の写真」など、従来の測定方法では得られなかったデータも学習に利用することが可能となり、深みのある学習が展開できるのではないかと考え、本実践を行った。
 
先生  :千葉大学教育学部附属小学校 中島先生
児童  :4年3組
単元  :「一日の気温と天気の変化」実施時間:45分×4回(本時は第1、2時限目)
 

本授業の実践ガイド(PDF)

以下のご利用条件を確認してからダウンロードしてください。

準備物

1時限目に使うもの

MESHブロック、タブレット端末
3~4名のグループごとにMESHブロックとタブレット端末を1セット用意。
マグネットシート
MESH ブロックの写真を印刷したマグネットシート(温度・湿度、カメラ、タイマー、通知)を用意。板書の際、フローチャートなどを作成する際に活用する。
ワークシート
一日の天気を予想するのに使用する。
 

2時限目に使うもの

測定後の気温データ
測定した気温を曜日別の表形式のデータで用意。天気の予測用の演習問題として活用する。
測定後の気温変化のグラフ
左記の演習問題の解答として、気温の変化のグラフとその日の空の写真を用意。
(晴れ、雨、くもりの日の3パターン程度を用意するとよい。)

授業の流れ(第1、2時)

1. 天気と気温の関係を調べるうえでの課題と、プログラミングの必要性を理解する

ワークシートと3年生で学習した地温のグラフを活用して一日の気温の変化を予想する。予想結果を確かめるために、気温と天気を記録する方法について全員で話し合う。
その際、登校前や下校後も気温を測定しなくてはならないことや、さまざまな天気の日のデータを複数回測定しなくてはいけないことを踏まえ、1時間おきに気温や空の様子を記録し続けるための手段としてプログラミングの必要性を理解する。
 

2. 実験計画を立てる(プログラミング)

MESHを使って1時間おきに気温と空の様子を記録するプログラムを考える。百葉箱に設置した温度計の代わりに、「温度ブロックをつかった気温を自動測定する」プログラムと、「空の様子を自動撮影する」プログラムの2つを作成する。
その後、教師が事前に用意したデータ記録用のプログラムを使い、全員で動作確認をするとよい。
※ データを記録する間隔は1時間おきとしているが、MESHで計測するにはロジックを考える必要があるので、授業では30分間隔でデータを取得することとした。
 

3. 百葉箱にMESHをセットし、測定を開始する

プログラムの動作確認の後、百葉箱にMESHブロックを設置して数週間の測定を開始する。あわせて、教室内にタブレット端末を設置して、空の写真も自動撮影しておく。
※百葉箱にMESHを設置する際には、雨水などでぬれないように注意。
 

4. 数週間後、測定データをもとに結果を考察する

晴れ、雨、くもりの日、一日の中で天気が変化した日など、複数の測定データがプリントされた資料をもとに全員で考察を行う。考察はクイズ形式で行い、気温の測定データから、その日の空の様子を予想することで、天気と気温の上がり方の関係性への理解を深めていく。
 

5. 気温の変化と空の様子との関係をまとめる

天気と気温の関係についてまとめる。そのときの空の様子が、気温の変化に大きな影響を与えている事実を理解する。また、3年生で学習した地温は12時が最高だが、気温は13時過ぎに最高になることに焦点をあてて、さらなる理解を深めたい。

レシピ例

児童が考えたレシピ

30分ごとに温度ブロックで気温を自動測定し、タブレット端末のカメラで空の様子を自動撮影するプログラム
 

実験で使用したレシピ

30分ごとに温度ブロックで測定した気温をExcelに自動記入し、タブレット端末のカメラで空の様子を自動撮影するプログラム
 
 
本事例につきましては、『MESHではじめるプログラミング教育 実践DVDブック 小学校編』にて映像とテキストを詳しく紹介しています。ぜひご活用ください。