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活用事例:千葉大学教育学部附属小学校 総合的な学習の時間(5年)


小学校5年の総合的な学習の時間 「商店街の飲食店の課題をプログラミングで解決しよう!」という授業で、MESHを活用し授業実践をされた千葉大学教育学部附属小学校 小池

先生に授業実施の背景や授業展開についてお話を伺いました。

  • 先生:千葉大学教育学部附属小学校 小池 翔太氏
  • 児童: 34人学級(2~6人 1グループ学習)
  • 場所:千葉大学教育学部附属小学校 / ゆりの木商店街「きやまん亭」
  • 実施時間: 本時40分×15回

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[左]小池先生 [中]ゆりの木商店街「ぎやまん亭」のパパさん、ママさん(石川 良和さん、世喜子さんご夫婦) [右]地域コーディネータ 株式会社プロシードジャパン 吉川さん

 

今回の授業を実施した背景は?

千葉大学教育学部附属小学校より徒歩10分の距離にある“ゆりの木商店街”にある飲食店「ぎやまん亭」は地域から愛される昔ながらの中華料理屋です。

今回、そんな「ぎやまん亭」を舞台としたプログラミングの学習に挑戦しました。

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2020 年度より、小学校の各教科等でプログラミング教育が必修化されるのは、報道などで目にされたことがある方も多いかと思います。

 このねらいとして、プログラミングの体験を通して

・子どもたちがコンピュータの計算処理のような論理的な考え方を身につけること

・社会の仕組みを理解すること

・各教科等のねらいを達成すること

と言われています。

 

私は、これらのねらいを踏まえて、「プログラミングで学んだことを社会の人たちのために活かす」ということを、単なるアイデアコンテストのようなものではなく、実際に挑戦してみようという段階まで、小学生の子どもたちにも取り組むことができるのではないかという仮説を立てました。

本校の子どもたちの特徴として、公共交通機関を利用し千葉市内から通学しているため、なかなかこの西千葉駅周辺の地域のことを知る機会もありません。よって、ただ地域調べをするだけではなく

、ただプログラミングで地域の解決アイデアを発表するだけでもなく、「プログラミングで地域解決をするために地域を知る」ということは、今の本校の子どもたちにもピッタリだと考えました。

 

 この授業のねらいと目標は?

「ぎやまん亭」や地域の商店街の潜在的なニーズをプログラミングで解決することで、地域との関係性の中でより実践的な学習を行うことを目的としました。

・「ぎやまん亭」や地域の商店街の潜在的なニーズや悩みをフィールドワークによって見つけ、色々な立場のお客さまが楽しい気持ちになり、店員さんの役にも立つような解決策を考えることで、地域社会が抱える課題への探求力と創造的な解決策を生み出す力を育む。

・地域の方々との交流やグループワークを通じて、コニュミケーション能力を養う。

 

 使用機材素材

MESHアドバンスセット×10式

iPad×10台 (10班)

画用紙、紙粘土、段ボール、セロハンテープなど

 

授業日程と授業の様子

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1~2時限目 事前情報収集

事前の情報収集ではインターネットなどを使って、ぎやまん亭やゆりの木商店街のことを調べ、ぎやまん亭のパパさんママさんへの質問を整理するなど、フィールドワークに向かう準備を進めていきました。

「ピーナッツ」という地域通貨があること、決済の時に「アミーゴ」という合言葉と共に握手をするということ、そして名物が「長崎ちゃんぽん」であること、ゆりの木商店街の基本的な知識を、みんなで事前に調べました。

 

3~4時限目 フィールドワーク

フィールドワークでは、事前の調査内容をもとにゆりの木商店街やお店の歴史、日々の出来事や悩みなどをぎやまん亭のパパさん、ママさんに直接インタビューをしたり、お店の中を観察したりしながら、お店に関わる人たちが潜在的に抱えているニーズを掘り起こしました。

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[左]ぎやまん亭の看板メニューは「長崎ちゃんぽん」。他にも「たこわかめちゃんぽん」という珍しいメニューを発見。ママさんに由来を質問しました。 [右]「たこわかめちゃんぽん」は、東日本大震災で被災した友人を訪ねた際に、この地区で「たこ」と「わかめ」が多く採れるお話を聞き、何かの助けになればという想いでメニューに取り入れたことを知りました。
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[左]お店の外には地域の店舗のチラシが貼られていました。 店内のお客さまだけでなく、商店街を歩いている方々にも何かできることはないかと感じました。 [右]店内にも地図や新聞の切り抜きがたくさん貼られていることに気づきました。 パパさんに質問すると千葉の歴史について掲示しているとのことでした。
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[左]テーブルに呼び鈴がないので厨房で調理中は、注文の声が届かないかもしれないと思いました。 [右]「長崎ちゃんぽん」を試食させていただき、お店の味もしっかりリサーチしました。

8時限目 中間報告会

フィールドワークで得た課題や潜在的なニーズを元に解決策を班ごとに話し合い、プログラミングによる解決方法のアイデアを発表資料としてまとめ、中間報告会にて発表しました。

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[左]児童にフィードバックをする吉川さん [右]発表をまとめた黒板

吉川さんからは、地域の活性化やお店とお客さまのコミュニケーションの向上に向けたアドバイスを、ぎやまん亭のパパさん、ママさんからは店舗での利便性やお客さまの視点からフィードバックをいただきました。

中間報告会を通して、児童たちの今後の課題となったキーワードは、課題解決や利便性を追求することだけでなく「地域から愛されるお店を目指す」こと。これらを踏まえてMESHを設置する本番までに準備を進めていきました。

 

12~14時限目 設置本番

お店にMESHを設置する日は、中間報告会のフィードバックを受けて、各班のアイデアをぎやまん亭に設置し、お客さんに使ってもらうことを想定し、さらにパパさん、ママさんに説明をしました。

 

 

 【各班の考えたアイデア】

「2班 人感 まねき猫!」

概要:お店の入り口にまねき猫を置き、人感センサーを設置する。人が通ると「いらっしゃいませ」と呼びかけをすることでお店にお客様を呼び込むとともに、ゆりの木商店街がにぎやかになる仕組み。 

使うMESH:人感ブロック、LEDブロック、明るさブロック、スピーカーブロック

 

中間報告会で指摘されたポイント

店内への誘因だけではなく「ぎやまん亭」が地域から愛されるための仕組みを掘り下げて考えてみましょう。

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MESH 設置日

箱と紙粘土を使い、まねき猫を工作。人が通ると人感センサーが反応し「ゆりの木商店街はみんなから愛される商店街です。楽しいですよ!」と録音した音声が軽快に流れる。明るさブロックとLEDブロックも設置し、暗くなるとLEDブロックが光る演出を追加。

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レシピ

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ぎやまんパパさんからのコメント

お店の中だけでなく、お店の外でお客様とコミュニケーションをとる仕組みはとても面白いね。これで商店街全体にもっと活気がでるね。

 

 

「6班 わくわく!優しい!おすすめメニュー紹介」

概要:ドアにセンサーを設置して、その時の温度や湿度の条件にあわせておすすめメニューを声でアナウンス。

使うMESH:動きブロック、温度・湿度ブロック、スピーカーブロック

 

中間報告会で指摘されたポイント

地域のコミュニケーション活性化のために定員さんへ話しかけたくなるような工夫があるともっと良いですね。

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MESH 設置日

ドアに動きブロックと温度・湿度ブロックを設置。ドアが開くとその時の温度によって「今日は暑いので、冷やし中華がおすすめです!」などとおすすめメニューが流れる。

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レシピ

入店時に25度以下なら「長崎ちゃんぽん」、25度以上なら「冷やし中華」とおすすめメニューを呼びかける。

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ぎやまんパパさんからのコメント

お客様の入店時にアナウンスしてくれるのはとても助かります!お客様が入店されたこともわかるのですぐに対応できますね。

 

 

 「5班 らくらく!便利!呼び出し機」

概要:お客様が席でボタンを押すと厨房に置いたLEDブロックが光りアナウンス。ぎやまんパパとママが注文を取るのが楽になる仕組み。

使うMESH:ボタンブロック、LEDブロック、スピーカーブロック

 

中間報告会で指摘されたポイント

LEDブロックが光るだけだと気づかない場合があるのでもっと工夫があると良いですね。

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MESH 設置日

各テーブルにわかりやすい形で呼び出しボタンを設置し、厨房から見やすい位置にLEDブロックを設置しました。お客様がボタンを押すと厨房のLEDブロックが光ると同時に、音声が流れて、パパさんに注文依頼を伝えます。

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レシピ

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ぎやまんパパさんからのコメント

これで調理に集中している時でも、お客様からの注文に気づくことができるね!

 

 

「8班 店内にある昔の地図を音声でご紹介

概要:お客様が席でボタンを押すと独自のキャラクター、タコカワくんやギヤマン教授たちが千葉の歴史について説明することで、お客様が料理が出てくるまで楽しく待てる仕組み。

使うMESH:ボタンブロック、スピーカーブロック

 

中間報告会で指摘されたポイント

店内に掲載されている千葉の歴史を読み上げるだけではなく、お客様に興味をもって聞いてもらえるような工夫があるとより良いですね。

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MESH 設置日

お客様の興味を引くように4人のキャラクターを設定して、分かりやすく店内に「お知らせ」を掲示。店内に掲示されている地図のストーリーを楽しく紹介しました。ボタンブロックを押すと、ボケやツッコミと笑いの要素を取り入れながら、1分半にもおよぶストーリーが音声で流れます。

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レシピ

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ぎやまんパパさんからのコメント

お店の名前やメニューからキャラクターを作ってくれてありがとう。ストーリーも面白いし、楽しく歴史が学べるね。

 

上記のアイデア以外にも以下6班分、合計10班のアイデアが形となりました。

   1班:料理が運ばれてくるタイミングをお客様へお知らせ

   3班:お客様の入店時に「アミーゴ!」とお手迎え

   4班:ボタン1つでおすすめメニューをアナウンス

   7班:植木鉢に自動水あげ装置

   9班:トイレの名言読み上げます!

   10班:外の気温によって自動でつく卓上扇風機

 

 

15時限目 振り返り

児童のコメント

・実際にお店に設置してみると教室で考えていたよりも難しかったが無事に設置できてよかったです。

・MESHを使った仕組みで、ぎやまん亭のパパさん、ママさんが喜んでいる姿を見るのが嬉しかったです。

・想定外のことも起きたが、班のみんなと協力して進めることができました。

 

先生のコメント

本校では、これまでさまざまなプログラミング教育の実践研究に取り組んできました。しかし、今回のように子どもたちがプログラミングしたものを実際にお店へ置かせていただくような授業を行うのは初めてのチャレンジでした。

 

子どもたちから出てきたアイデアは、私が事前に予想していたものを大きく上回る、大変興味深い内容ばかりでした。そのアイデアを実現するために、子供たち同士が熱心に協力してプログラミングを行っていました。子どもたちがもっている可能性を最大限信じていくことが大切であるということを私自身学ぶことができました。

 

この学習を通して、子供たちはぎやまん亭のパパさん、ママさんと会うとすぐに「アミーゴ!」と握手してつながっている姿が見られました。こうした地域の人と人をつなぐあたたかいプログラミング教育の実践ができたことに確かな手応えを感じました。

 

今回の実践では、関係の方々に大変多くのご協力をいただいて実現できました。この場をお借りしてお礼を申し上げます。MESHを通した「地域とつながるプログラミング教育」が少しでも多くの学校で広がることを願っております。